タイが良質な茶葉の生産地であることをご存知でしょうか?タイ北部チェンライ周辺の山岳地帯は、山の冷涼な気候のため、優良なお茶の生産として最適な場所となっています。山肌一面に茶畑が広がりところどころで山岳民族の茶摘みの風景が見られます。日照時間が長く十分な発酵時間を与えられるため、特に発酵が高めのお茶に最適で、酸化発酵のコントロールがしやすく、より香り高いおいしいお茶ができます。この地域で栽培されるタイ紅茶の一部は、甘く魅力的な香りで知られ、風味豊かなお茶の特徴となっています。
タイ最北端の山岳地帯、ラオス、ミャンマーと国境が接するエリアは、「ゴールデントライアングル」と呼ばれ、かつては非合法の麻薬の栽培地域として知られていました。当時、ここで暮らす山岳少数民族の人々は、政府の援助を受けられず、貧しさからアヘンの原料となるケシの栽培をし、大量の森林伐採や焼畑などで森や水源が失われ、貧困問題もさらに深刻化していました。
その後、ケシ栽培の取り締まりが厳しく行われ、森林破壊からの森林の再生、地域に住む山岳少数民族の文化を守りつつ、ケシに代わるお茶やコーヒー等の栽培への転換が始まり、その地域に住む人々の生活向上とともに、森林の回復に努め続け、今ではこの地域からケシは一掃され、森が見事に復活しています。人と森とが共生する地となり、山岳少数民族の文化を守り育てる場ともなっています。その取り組みの中でタイ紅茶も発展を遂げ、今では評価の高い良質なお茶として世界中でも好まれて飲まれ、広がり続けています。
タイ北部山地には森林を利用しながら古代から維持されているチャ樹栽培もあります。茶葉は発酵茶「ミアン(miang)」と呼ばれる噛み茶に用いられ、食後や来客時に食したり、冠婚葬祭を含む宗教儀礼に供されます。林内茶園は「ミアン林」と呼ばれ、その地域周辺には森林資源を利用し、ミアンを生産する村が点在しています。自然環境の中で育つため丈夫で、昆虫や寄生虫に対する自然な防御力を備えています。そのため、化学的に合成された肥料や農薬を使用する必要がなく、環境にもやさしい栽培方法で生産されています。
昨今の急激な社会変化、生活様式の変化からミアンの需要は減少しており茶生産物を紅茶や緑茶へ転換する動きが見られます。そんな歴史とこだわりのあるタイの紅茶を多くの人々に知って欲しいと、ピヤニは2018年から日本で活動をはじめました。タイの現地を訪れ、厳選した茶葉のみを独自にブレンドした紅茶を開発しています。風味豊かなタイの紅茶を是非お楽しみください。
ピヤニでは、ケシ栽培から転換した村の茶葉や、森を利用しながら自然環境の中で育つ林内茶園の茶葉など、タイ人のオーナーが現地で厳選した茶葉を数種ブレンドして作っています。現地の生産者の生活を保護し、環境問題への解決、茶葉供給の維持に貢献できるようこれからも取り組んでまいります。